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第9話 謁見

Penulis: 青砥尭杜
last update Terakhir Diperbarui: 2025-01-31 23:28:44

 出しゃばらずに自分への注目を集める術を十四歳にしてすでに身に付けているマヤが中心となり、歓談が程よく温まった頃合いで書斎のドアを控え目に三回ノックする音がした。

 ケンゾーの「どうぞ」という声に合わせ静かにドアが開く。ドアを開けたのは先ほどマジェスタの目配せに応じて病室を出て行った濃紺の軍服を着た青年だった。

 青年が深々と頭を下げてから報告する。

「謁見の支度が整った由にて、報告させていただきます」

 マジェスタが「承知した」と短く答えると、青年は再び深々と頭を下げてから退室した。

 軽く一呼吸置いたマジェスタがカイトへ視線を向ける。

「それではカイト閣下、これより女王陛下に謁見いただきたく存じます」

 マジェスタの発した「謁見」という言葉の響きに、カイトは不安と緊張を隠せなかった。

「はい。分かりました……でも、俺は正式なマナーとか知らないし、相応しい所作? みたいなものも身に着けてませんが……大丈夫でしょうか?」

 素直に不安を口にしたカイトを見て、ケンゾーが微笑みかけた。

「それは心配いらない。形式に則った正式な謁見ってわけじゃないし、女王のセルリアンは根が気さくな女性だから。俺も同席するし、気楽に会えばいい」

 ケンゾーが同席すると聞いて不安がやわらいだカイトは、

「はい。じゃあ、そうします」

 とうなずいて返した。

「よし。じゃあ、行こうか」

 気楽な口調で言ったケンゾーが立ち上がると、それにつられるようにカイトとマジェスタも立ち上がった。

 一人だけ椅子に腰掛けたままとなったマヤが、

「わたくしは、ここでお留守番してますわね。いってらっしゃいませ、お兄様」

 と可憐な笑みを添えてカイトを送り出した。

 ケンゾーが先頭となり連れ立って王宮病院を出た三人は王宮に戻ると、シンメトリーな造りである王宮の中心線に当たる長い一直線の廊下を奥に進んだ。

 その突き当たりに謁見の間があった。

 金糸の刺繍が際立つ緋色の軍服を着た、ともに長身で金髪碧眼という双子のように容姿の似た二人の青年が、謁見の間の重厚な扉を挟むように立っている。

 直立不動の二人はケンゾーたちが近づくと、見事にシンクロした動作で純白の扉を開けて三人を迎えた。

 その場で跪き、最敬礼をもって迎える二人の美しい青年に対して、どう応じるのが正解なのか分からないカイトは軽く頭を下げてから謁見の間に入った。

 謁見の間は天井が一段と高く、白を基調としてカーディナルレッドの差し色が施された荘厳な空間だった。

 ケンゾーが最奥にある金の装飾が施された重厚な扉をノックする。

 カイトはマジェスタと並んで謁見の間の中央で待機した。

 全身ファストファッションの代名詞であるユニシロという自分の服装が、ひどく場違いだと思ったカイトは緊張よりも居心地の悪さを感じていた。

 奥の扉が開いて一人の女性が姿を現す。

 女性は純白の地に真紅の縁取りがなされた立ち襟のローブ・モンタントを着ていた。

 理知的な印象を与える切れ長な目と通った鼻筋に小さな唇を持つ女性は、カイトが予想した七十代の女性像よりはるかに若く見えた。

 女性は奥の一段上がっている上座の椅子には見向きもせず、カイトへ向かってまっすぐに歩み寄った。

「よく来てくれました。わたくしがセルリアンです」

 セルリアンの声は柔らかく、カイトの複雑な心境を解きほぐすように穏やかだった。

「カイト、アナン、と申します。陛下」

 緊張で言葉が細切れになったカイトを見たセルリアンが柔和に微笑む。

「緊張なさらないで」

「はい……」

「似ていますね。ケンゾーの若い頃に」

「……そう、ですか」

 カイトが女王であるセルリアンにどう受け答えるのが正解なのか迷っていると、まっすぐにカイトの目をみつめたセルリアンが、

「わたくしたちを恨んではいませんか? あなたの祖父と父を奪った、異なる世界のわたくしたちを……」

 と声に哀調を含ませた。

 セルリアンが口にした問いは、いきなり現れたケンゾーの時とは違い、会う前に想定する時間があったカイトにとっては答えに困るものではなかった。

「いえ。何か避けられない事情があってのこと、だと思うので、恨んではいません」

 間を置かずに答えたカイトへ感嘆の表情をみせたセルリアンは、

「思慮深いところもケンゾーに似ていますね。ケンゾーを召喚したのは……テルスの神であるナーガの言葉に、わたくしがすがった結果なのです」

 と哀切の色を浮かべた瞳を隠すように顔を伏せた。

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